新しい一歩を踏み出したいと思っている人たちとの出会い

はなさん(仮名)の部活動体験記

2022.4.25

◆ オンラインで知らない人同士なのに和む 参加者がギラギラしていない(ホッ)

オンラインであろうが、対面であろうが、イベントは生もの。基本はほぼ同じでも、いろいろな要素で展開も結果も変わります。

そこで大事になることの一つが、オーガナイザー(運営部員)が作り出す雰囲気。今回、知らない人と話す「大人の部活動」に参加してみようと思ったのは、運営部員のけいさんとゆうこさんが以前からの友人で、静と動というほど対照的な二人が協働すると発生する相乗効果を体験してみたいと思ったからでした。

でも、それで緊張や不安がなかったかと言えば嘘になります。運営部員の作り出す雰囲気と同じく重要なのが、部員の面々。ソーシャルメディアが日常生活の一部となってから久しいですが、よくあるギラギラしたセルフプロモーションをする人がいたらどうしようかと、少し考えました。自分を新しい美と健康のリーダーとして売り出そうと決めたらしい知人のインスタグラムにげんなりした直後だったのも影響していたと思います。

ところが!そんな緊張や不安は、1回目の部活動で吹き飛びました。


部活動の流れ

4週間かけて、聞く&話す・書く・つながるの3つの活動を通して、自分だけのストーリーを生み出す自信を身につけ、人生を豊かにする緩やかな横のつながりを作っていきます。


まったりした時間が流れる金曜日の夜(日本では土曜日の午前中)にオンラインの場に集ったのは、これからの体験にワクワクしてキラキラしている(でもギラギラしていない)、自然体の30代から60代の大人の女性たち。それぞれがいろいろな状況にあって、いろいろな経験をしてきたことに対する、ジャッジメンタルではない、ちょうどいい塩梅の興味とリスペクトがあって、気づいたら、そこにいるのはいつもの自分でした。物理的に同じ場所にいないのに、まるで集まって円になってすわって、出会ったばかりなのに仲間と話しているような不思議な感覚。「これって何?」と思い、次の週の部活動が楽しみになっていました。

◆残りの人生、どんな人たちと、どう生きたいか

初対面の人たちと集まって自分のことや考えを話すことで得られるものは、予想外に多いものです。自分がアンテナを張っているからというのもありますが、それがちょっと緩んだ時にも、けいさんから投げかけられる問い、それに対する誰かの答え、簡単なタスクをそれぞれでやりながら誰かが言ったふとした発言に、新しい気づきを得たり、自分と同じ考えであることを知ったり、心があたたかくなったり。「どんなことからも学べる」と言いますが、この部活動での学びは、一言で言うと、「とても元気になるもの」でした。

それはなぜだろうと考えてみると、一つの理由は、今回の部活動の部員たちは何か新しい一歩を踏み出したいと思っている人たちだったからではないかと。それが今考えていることや考え続けてきたことへの答えでも、人生を変えるような大きな挑戦でも、何か掘り下げて、何らかの形で前に進みたい、という気持ちが共通していたように思います。

そして、もう一つの理由は、4週間だけとはいえ、「貴重な時間を無駄にせず、最大限にいいことに使おう。人生をもっと楽しみたいし」というような気持ちも共通していたなと。それぞれが喜んで考えて深堀りしている、そんな面白い感覚がありました。

「やっぱり、私にはそういう前向きな人たちが合っている。これからの人生も、やっぱり自分とあっているそういう人たちと過ごしたいな」

“自分を、そしてお互いを大切に思う人を大切にしていく、その当たり前のことを深堀りする機会になりました”

そんなことを考えながら向き合った、部活動を締めくくる作文。前に進むために、私は過去と向き合うことになりました。私にとってそれは、いつも自分の頭の中にある、生きたくても生きることを選べなかった身近な人のことをもっと深く考えることにつながってしまい、とても苦しい作業でした。誰が指示したわけでもなく、自分で選んだトピックがそれというのも、わざわざ大変なことに取り組んでしまう性格からかもしれません。でも、私にとっては、これが、この部活動で、心を開いて、正直に自分と向き合ったことの集大成。時には涙を流しながら、一本でいいのに三本も作文を仕上げ、その中で一番納得できるものを提出しました。

他の部員の方々の作文を読んでみると、あの部活動の最中とそれ以外の時間で、みんなが考えたことや感じたことが詰まっています。なんて濃い時間だったんでしょう!一度だけでなく、何かにつけて読み返したいと思います。

パンデミックでは、人生や人間関係の見直しをし、時間の貴重さを実感しました。そして、その中で参加したこの部活動は、自分を、そしてお互いを大切に思う人を大切にしていく、その当たり前のことを深堀りする機会になりました。これからもいろいろな変化がありそうなタペストリー、ますます楽しみです。